【ETF分析】バンガード高配当ETF(VYM)

バンガードの高配当ETFのVYMについて、構成銘柄や分配金、類似商品のHDV、SPYD、SCHD等との比較を交えて、解説していきます。

目次

基本情報

商品名Vanguard High Dividend Yield ETF
ティッカーVYM
市場NYSE Arca
運用会社The Vanguard Group, Inc.
設定日2006年11月10日
経費率0.06%
ベンチマークFTSE High Dividend Yield Index
銘柄数582
最大銘柄比率6.44%(ブロードコム)
上位10銘柄比率25.4%
純資産総額611億ドル
分配金四半期毎
Vanguard HPより参照。2025年6月30日時点

VYMは、バンガードが提供するETF(上場投資信託)です。

ベンチマーク

VYMのベンチマークは、FTSEインターナショナルの提供するFTSE High Dividend Yield Indexです。この指数は、REIT(不動産投資信託)銘柄を除く、平均を上回る配当の支払い実績がある株式で構成され、浮動株時価総額加重により算出されています。

構成銘柄組み替えは年に一度実施されます。配当がゼロになる等した場合は、四半期に一度の見直し時に除外される等の対応が行われます。

パフォーマンス

上図は、2006年11月のVYM設定から2025年6月までの、TradingView提供のチャートです。19年程で5倍弱になっています。CAGR(年平均成長率)は8.8%程度となります。

年次パフォーマンス

CYVIGS&P 500
2024+17.56%+25.02%
2023+6.59%+26.29%
2022-0.44%-18.11%
2021+26.09%+28.71%
2020+1.21%+18.40%
2019+24.18%+31.49%
2018-5.94%-4.38%
2017+16.45%+21.83%
2016+16.89%+11.96%
2015+0.31%+1.38%
Vanguard HPより参照

過去10年のパフォーマンス(トータルリターン)をS&P 500と比較すると、10年中2年しかVYMは上回っていません。2022年の下落がほとんどなかったのは優秀ですが、それ以外は大幅に下回る年もあり、この10年間ではS&P 500の方が優勢でした。

パフォーマンス比較チャート(vs VOO)

上図は、VOO(Vanguard S&P 500 ETF)とVYMを配当込みのパフォーマンスで比較した、TradingView提供のチャートです。パンデミック前の2019年まではほぼ変わらずですが、パンデミック時の下落が大きかったのと、その後のテック系銘柄の成長を取り逃がしたことにより、この5年で大きく差を付けられています。ただテック銘柄の多いナスダックが大きく下落した2022年のような年では大幅にVOOを上回っています。

構成銘柄

スクロールできます
No. 銘柄名ティッカー比率
1ブロードコムAVGO6.44%
2JPモルガン・チェースJPM4.07%
3エクソン・モービルXOM2.36%
4ウォルマートWMT2.15%
5プロクター・アンド・ギャンブルPG1.89%
6ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJ1.86%
7ホーム・デポHD1.85%
8アッヴィABBV1.66%
9バンク・オブ・アメリカBAC1.64%
10ユナイテッドヘルス・グループUNH1.44%
11フィリップ・モリス・インターナショナルPM1.44%
12シスコシステムズCSCO1.40%
13コカ・コーラKO1.39%
14IBMIBM1.39%
15ウェルズ・ファーゴWFC1.32%
16アボット・ラボラトリーズABT1.19%
17シェブロンCVX1.18%
18ゴールドマン・サックスGS1.09%
19マクドナルドMCD1.06%
20AT&TT1.03%
Vanguard HPより参照。2025年6月30日時点

上位20社は上記の通りで、上位10社までで全体の25.4%の割合を占めます。P&G<PG>やジョンソン&ジョンソン<JNJ>、コカ・コーラ<KO>等、日本人にも馴染みのある人気の銘柄が含まれています。一方で、GAFAM(アルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト)のような時価総額の大きなテック銘柄は含まれていません。

利回りが平均以上の銘柄を時価総額加重平均で並べている形なので、ブロードコム<AVGO>やウォルマート<WMT>のようなそこまで配当利回りの高くない銘柄も上位に組み込まれています。後半で比較を載せていますが、それもあり他の高配当ETFと比べるとVYMは分配金利回りが低めとなっています。

セクター比率

Vanguard HPより参照。2025年6月30日時点

少し金融の割合が大きいですが、幅広くセクター分散されています。S&P 500指数と比較すると、情報技術が20%近く少なく、金融、資本財、生活必需品、エネルギーがそれぞれ5%前後多くなっています。近年のパフォーマンスの差は、情報技術の割合の差によるところが大きそうです。

分配金

分配金は四半期毎の支払いで、直近の分配金利回りは2.6%程度となっています。

年単位で直近10年分の分配金を見てみると、この10年では全ての年で増配となっていて、非常に安定した成長を続けています。上記期間でのCAGR(年平均成長率)は5.6%で、同時期のVOOの分配金CAGRは6.1%でしたので、成長率は少しVOOを下回っています。

直近の権利確定日と支払い日は以下のようになっています。

スクロールできます
権利確定日支払日分配金
2025年6月20日2025年6月24日0.8617ドル
2025年3月21日2025年3月25日0.8500ドル
2024年12月20日2024年12月24日0.9642ドル
2024年9月20日2024年9月24日0.8511ドル

ETF比較

高配当ETF(HDV, SPYD, SCHD)

類似商品として、HDV、SPYD、SCHDとの比較を見てみます。

スクロールできます
 VYMHDVSPYDSCHD
商品名Vanguard
High Dividend Yield
ETF
iShares Core
High Dividend
ETF
SPDR
Portfolio S&P 500
High Dividend ETF
Schwab U.S.
Dividend Equity
ETF
運用会社バンガードブラックロックステートストリートシュワブ
設定日2006年11月10日2011年3月29日2015年10月21日2011年10月20日
経費率0.06%0.08%0.07%0.06%
ベンチマークFTSE
High Dividend Yield
Index
Morningstar
Dividend Yield
Focus Index
S&P 500
High Dividend
Index
Dow Jones
U.S. Dividend 100
Index
銘柄数5827577103
最大構成比率6.44%
ブロードコム
8.66%
エクソン・モービル
1.68%
ハズブロ
4.31%
シェブロン
上位10銘柄比率25.4%50.4%15.7%40.4%
純資産総額611億ドル112億ドル70億ドル710億ドル
分配金四半期毎四半期毎四半期毎四半期毎
30日SEC利回り2.57%3.33%4.51%3.79%
市場価格136.12ドル119.21ドル43.53ドル27.20ドル
2025年7月29日時点の各社HP情報より参照

経費率は、どの銘柄も0.1%未満と低く優秀です。全て高配当をテーマとしたETFですが、ベンチマークの違いにより、銘柄構成も分配金利回りも差が大きく、異なる特性を持つETFとして考えた方が良さそうです。

HDVとSPYDのベンチマーク

HDVは、配当利回りが高いかつ財務基盤が強い75銘柄に対して、配当額で加重して算出された指数をベンチマークとしています。SPDYは、S&P 500指数の中から配当利回りの高い80銘柄に対して、保有比率を均等として算出された指数をベンチマークとしています。

SCHDの銘柄選定方法

SCHDは、結構ユニークな算出方法となっています。10年以上連続で配当を出している(連続増配である必要はない)かつ浮動株調整後時価総額が5億ドル以上等を条件とした上で、フリーキャッシュフローの総負債比率、ROE、配当利回り、5年間の配当成長率の4つの指標をスコア化、ランキング上位100社を選出し、それを基に指数が算出されます。年に一度の見直し時には、上位200社以内であれば残留といった過度な入れ替えが起こらない配慮もされています。

パフォーマンス比較チャート(vs HDV, SPYD, SCHD)

上図は、一番新しいSPYDの設定月から直近までのTradingView提供のチャートです。配当込みのリターンで、SCHDが+187%で一番パフォーマンスが良く、VYMは+171%で二番目、SPYDとHDVは+130%程度となっています。同期間のVOOは+263%となっていて、S&P 500 ETFのVOOと比べると高配当ETFはどれも見劣りするパフォマンスとなっています。

高配当ETFで選ぶならSCHDか

4銘柄の中では、SCHDが高配当ETFとしては良さそうに見えます。設定以来ほとんどの期間で他の高配当ETFより良いパフォーマンスで、分配金利回りもそれなりに高い傾向です。VYMもパフォーマンスはあまりSCHDと変わらず、分配金利回りが高配当ETFとしては低めなのを許容できれば、良く分散もされているので無難なETFだとは思います。

HDVとSPYDは純資産総額も他の2銘柄より少なく、その特性も少しニッチな銘柄に見えます。HDVは、エネルギー、ヘルスヘア、生活必需品セクターの比率が高い傾向にあるので、高配当かつその辺のセクターを補完したい方向けでしょうか。SCHDもHDV程ではないですが、似たセクター比率ではありますが。SPYDは、シンプルに配当利回りで選定されているため、とにかく配当利回り重視の方向けかと思います。

その他のETF

同じ配当に注目した商品として、連続増配ETFのVIG、ところどころで比較対象としているS&P 500 ETFのVOOについても、分析記事がありますので、ETF選択の際には合わせて確認してみてはいかがでしょうか。

配当よりも成長だ、VYMにはない大型テック銘柄も欲しい、という方はナスダック100ETFのQQQが優秀です。

※本記事は投資勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします

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