【ETF分析】バンガード全世界株式ETF(VT)

バンガードの全世界株式ETFのVTについて、構成銘柄や分配金、他ETF(ACWI, VTI, VEA, VWO)との比較等を交えて、解説していきます。

目次

基本情報

商品名Vanguard Total World Stock ETF
ティッカーVT
市場NYSE Arca
運用会社The Vanguard Group, Inc.
設定日2008年6月24日
経費率0.06%
ベンチマークFTSE Global All Cap Index
銘柄数9,787
最大銘柄比率3.71%(マイクロソフト)
上位10銘柄比率19.1%
純資産総額457億ドル
分配金四半期毎
Vanguard HPより参照。2025年5月31日時点

VTは、バンガードが提供するETF(上場投資信託)です。

ベンチマーク

VTのベンチマークは、FTSE Russellの提供するFTSE Global All Cap Indexです。この指数は、時価総額加重平均型で世界の大型、中型、小型株のパフォーマンスを表しています。2025年6月末時点のFactsheetでは、先進国及び新興国の48の市場から10,024銘柄で構成されるとされています。3月と9月に構成銘柄の見直しがあります。

全世界型の類似指数としては、MSCI ACWI(All Country World Index)があります。こちらは小型株を含んでおらず、2025年6月末時点で構成銘柄数2,528、世界の株式市場の約85%をカバーするとされています。

パフォーマンス

上図は、2008年6月のVT設定から2025年7月現在までの、TradingView提供のチャートです。17年程で約4倍になっています。CAGR(年平均成長率)は8.1%程度となります。

CYVTS&P 500
2024+16.48%+25.02%
2023+21.90%+26.29%
2022-18.00%-18.11%
2021+18.25%+28.71%
2020+16.74%+18.40%
2019+26.80%+31.49%
2018-9.67%-4.38%
2017+24.19%+21.83%
2016+8.77%+11.96%
2015-1.88%+1.38%
Vanguard HPより参照

過去10年のパフォーマンスをS&P 500と比較すると、10年中2年しかVTは上回っていません。

上図は、VOO(Vanguard S&P 500 ETF)とVTを配当込みのパフォーマンスで比較した、TradingView提供のチャートです。VOO設定来の約15年は米国株が強かったのもあり、全世界株式のVTの方が大きく下回る結果となっています。

構成銘柄

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No. 銘柄名ティッカー比率
1マイクロソフトMSFT3.71%
2エヌビディアNVDA3.43%
3アップルAAPL3.21%
4アマゾンAMZN2.09%
5メタ・プラットフォームMETA1.54%
6ブロードコムAVGO1.21%
7アルファベットGOOGL1.10%
8テスラTSLA1.04%
9アルファベットGOOG0.91%
10バークシャー・ハサウェイBRK.B0.86%
11TSMC23300.83%
12JPモルガン・チェースJPM0.80%
13ビザV0.68%
14イーライ・リリーLLY0.64%
15ネットフリックスNFLX0.56%
16マスターカードMA0.52%
17コストコ・ホールセールCOST0.50%
18エクソン・モービルXOM0.49%
19ウォルマートWMT0.46%
20プロクター&ギャンブルPG0.43%
Vanguard HPより参照。2025年5月31日時点

上位20社は上記の通りで、上位10社までで全体の19.1%の割合を占めます。上位10社は全て米国企業で、お馴染みのハイテク企業達とバークシャー・ハサウェイとなっています。米国以外では、11位に台湾の半導体製造企業TSMC、表外ですが21位に中国のテンセントが入ってきます。日本企業のトップは、トヨタ自動車の46位で0.24%の保有比率となっています。

セクター比率

Vanguard HPより参照。2025年5月31日時点

テクノロジーセクターが26.5%で最大比率となっています。次いで、金融、資本財、一般消費財セクターもそれぞれ15%前後を占めています。VOOと比較するとテクノロジーやヘルスケアの割合が少し減り、金融、資本財、一般消費財が増えています。

地域別構成比

Vanguard HPより参照。2025年5月31日時点

地域別で見ると、北米が約2/3を占めています。新興国が約1割となっていて、先進国9割、新興国1割の組み合わせと考えることもできます。国別だと、米国62.3%、日本5.9%、英国3.6%、中国3.1%、カナダ2.9%、フランス2.3%、インド2.3%、ドイツ2.3%、スイス2.1%、台湾2.0%が上位10ヶ国(市場)となっています。

分配金

分配金は四半期毎の支払いで、直近の分配金利回りは1.9%程度となっています。

年単位で直近10年分の分配金を見てみると、パンデミック時には大きなマイナス、2022年の米国不況時にもマイナスとなってはいるものの、全体的には右肩上がりで推移しています。上記期間でのCAGRは5.5%で、同時期のVOOの分配金CAGRは6.1%でしたので、増配率でもVOOを下回っています。

直近の権利確定日と支払い日は以下のようになっています。

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権利確定日支払日分配金
2025年6月20日2025年6月24日0.5947ドル
2025年3月21日2025年3月25日0.3852ドル
2024年12月20日2024年12月24日0.8774ドル
2024年9月20日2024年9月24日0.4174ドル

ETF比較

類似ETF(ACWI)

類似商品として、ACWIとの比較を見てみます。

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 VTACWI
商品名Vanguard Total World Stock ETFiShares MSCI ACWI ETF
運用会社バンガードブラックロック
設定日2008年6月24日2008年3月26日
経費率0.06%0.32%
ベンチマークFTSE Global All Cap IndexMSCI ACWI Index
銘柄数9,7872,256
最大構成比率3.71%(マイクロソフト)4.63%(エヌビディア)
上位10銘柄比率19.1%22.7%
純資産総額487億ドル224億ドル
分配金四半期毎半年毎
30日SEC利回り1.87%1.41%
市場価格128.88ドル128.88ドル
2025年7月10日時点の各社HP情報より参照

VTとACWIはどちらも全世界株式が対象のETFですが、ベンチマークが異なっています。主な違いは、VTのFTSE Global All Cap Indexは小型株を含んでいて、ACWIのMSCI ACWI Indexは小型株を含まない点です。銘柄数に違いが表れています。

設定日は3ヶ月しか変わらず、たまたまですが、市場価格は全く同じとなっています。分配金利回りは、VTの方がやや高く、頻度もVTは四半期毎、ACWIは半年毎とこちらは違いがあります。

上図は、VTの設定月から直近までのTradingView提供のチャートです。配当込みのリターンで、VTが少しだけACWIを上回っています。動きはどちらも全世界株式が対象なので、似通っています。

この二つのETFのどちらかを選ぶなら、個人的には経費率の差でVT一択かと思います。他の点については、大きな差はなく好みの範疇かなと思いますが、似た性質のETFで0.26%の経費率の差はかなり大きいです。

地域別ETF(VTI, VEA, VWO)

VTI、VEA、VWOとの比較も見てみます。

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 VTIVEAVWO
商品名Vanguard Total Stock Market ETFVanguard FTSE Developed Markets ETFVanguard FTSE Emerging Markets ETF
運用会社バンガードバンガードバンガード
設定日2001年5月24日2007年7月20日2005年3月4日
経費率0.03%0.03%0.07%
ベンチマークCRSP US Total Market IndexFTSE Developed All Cap ex US IndexFTSE Emerging Markets All Cap China A Inclusion Index
銘柄数3,5553,8485,954
最大銘柄比率6.01%(マイクロソフト)1.28%(SAP)8.16%(TSMC)
上位10銘柄比率31.1%9.4%22.1%
純資産総額4,984億ドル1,638億ドル912億ドル
分配金四半期毎四半期毎四半期毎
30日SEC利回り1.19%2.92%2.65%
市場価格307.50ドル57.31ドル49.61ドル
Vanguard HPより参照。2025年7月10日時点

VTは実質、上記3つのETFの組み合わせで構成されていると言えます。現在の構成比率に合わせると、VTI(全米株式)を62%、VEA(米国除く先進国株式)を28%、VWO(新興国株式)を10%購入すれば、ほぼVT(全世界株式)同等となります。

3つを組み合わせて自身で独自の全世界株式ポートフォリオを作るのもありですね。構成比を自由に変えられますし、経費率もVWOは0.01%だけVTよりも高いですが、VTIとVEAは0.03%低いので、少しだけ経費を節約できます。

上図は、VTの設定月から直近までのTradingView提供のチャートです。配当込みのリターンで、全米株式ETFのVTIが+555%と他のETFに圧倒的な差を付けています。先進国株式(米国除く)ETFのVEAは+125%、新興国株式ETFのVWOは+71%と約16年間のリターンとしてはちょっと物足りなく感じます。もちろん直近は米国が強かっただけで、切り取る期間次第でパフォーマンスは変わってきます。

VTは、低い経費率で株式市場全体に広く分散投資できる非常に良いETFだと思います。私も保有していて、現在のポートフォリオの10%程度を占めています。今後も米国株が強いとか、これからは新興国株が来るだとか、日本株が割安だとか色々言われますが、VTを持っておけば、何が来ても多少の恩恵は得られるのが精神的にもプラスな気がしています。

株式以外の資産まで目を向けると、債券やコモディティ、暗号資産や現金と考えることが増えますが、株式で迷ったらこれと言えるETFの代表かと思います。

※本記事は投資勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします

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