【ETF分析】インベスコ QQQ トラスト(QQQ)

ナスダック100をベンチマークとするInvesco QQQ Trustについて、構成銘柄や分配金、廉価版とも言えるInvesco NASDAQ 100 ETF<QQQM>や類似商品のVanguard Information Technology ETF<VGT>等との比較を交えて、解説していきます。

目次

基本情報

商品名Invesco QQQ Trust, Series 1
ティッカーQQQ
市場NASDAQ
運用会社Invesco Capital Management LLC
設定日1999年3月10日
経費率0.20%
ベンチマークNasdaq-100 Index
銘柄数101
最大銘柄比率8.74%(マイクロソフト)
上位10銘柄比率50.1%
純資産総額3,372億ドル
分配金四半期毎
Invesco HPより参照。2025年6月13日時点

QQQは、インベスコが提供するETF(上場投資信託)です。

ベンチマーク

QQQのベンチマークは、ナスダックが提供するナスダック100指数です。ナスダック100指数は、ナスダックに上場する金融銘柄を除いた時価総額上位100銘柄で構成されます。時価総額加重平均により算出されるため、時価総額の大きな企業の影響を受けやすくなります。

ナスダック市場は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)と比べテクノロジー関連企業が多く上場しています。ナスダック100指数は、その中でも時価総額の大きな銘柄かつ金融以外のセクターで構成されています。また、S&P 500指数は米国企業のみを対象としているのに対し、ナスダック100指数は米国外の企業も対象となっていて、3%程度は米国外の企業となっています。

ナスダック100指数の構成銘柄組み替えは毎年12月に実施されます。これに合わせて、QQQも年に一度、構成銘柄の変更が行われます。なお、リバランスは四半期に一度とされています。

パフォーマンス

上図は、1999年3月のQQQ設定から2025年6月までの、TradingView提供のチャートです。設定来だと+904.33%と26年程で約10倍になっています。参考までに、ベンチマークとしているナスダック100指数(NDX)の同時期の上昇率は+926.92%でしたので、少しだけQQQの方がベンチマークを下回っています。

設定の直後にITバブル崩壊が到来していて、2000年の高値を更新するまでに17年もかかっています。1999年末から2024年末までのCAGR(年平均成長率)は7.13%ですが、2009年末からの2024年末までのCAGRは17.46%と投資時期によってかなり差が出ています。

CYQQQS&P 500
2024+25.58%+25.02%
2023+54.73%+26.29%
2022-32.51%-18.11%
2021+27.25%+28.71%
2020+48.63%+18.40%
2019+39.12%+31.49%
2018-0.13%-4.38%
2017+32.72%+21.83%
2016+7.01%+11.96%
2015+9.53%+1.38%
QQQとS&P 500のFactsheetを参照

過去10年のパフォーマンスをS&P 500と比較すると、10年中7年はQQQの方が上回っています。ただ不況だった2022年に32%の下落となっていたり、QQQの方がボラティリティが高く、下落幅は大きくなっています。

上図は、2014年末から2024年末までのQQQとVOO(Vanguard S&P 500 ETF)の、TradingView提供のチャートです。配当込みのリターンで、QQQは+464.88%、VOOは+261.40%と直近10年ではQQQの方が大きく上回っています。近年ではテクノロジー企業の比率が多いQQQの方が有利ですね。

構成銘柄

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No. 銘柄名ティッカー比率
1マイクロソフトMSFT8.74%
2エヌビディアNVDA8.69%
3アップルAAPL7.35%
4アマゾンAMZN5.55%
5ブロードコムAVGO4.88%
6メタ・プラットフォームMETA3.73%
7ネットフリックスNFLX3.14%
8テスラTSLA2.85%
9コストコ・ホールセールCOST2.69%
10アルファベットGOOGL2.52%
11アルファベットGOOG2.39%
12パランティア・テクノロジーズPLTR1.84%
13T-モバイル USTMUS1.58%
14シスコ・システムズCSCO1.57%
15リンデLIN1.34%
16インテュイットINTU1.29%
17アドバンスト・マイクロ・デバイセズAMD1.16%
18インテュイティブ・サージカルISRG1.11%
19テキサス・インスツルメンツTXN1.10%
20ペプシコPEP1.10%
Invesco HPより参照。2025年6月12日時点

上位20社は上記の通りで、上位10社までで全体の50.1%の割合を占めます。上位は所謂マグニフィセント7(MSFT, NVDA, AAPL, AMZN, META, GOOGL/GOOG, TSLA)等のテクノロジー企業ばかりですが、9位に生活必需品セクターのコストコ・ホールセールが食い込んでいます。マイクロソフト、アップル、コストコ、アルファベットは銘柄分析記事へのリンクを付けています。

セクター比率

Invesco HPより参照。2025年3月31日時点

情報技術セクターが6割弱と半分以上を占めています。アマゾンやテスラが含まれる一般消費財セクターも2割程度と比率が大きくなっています。金融以外の幅広いセクターに投資はされていますが、かなりテクノロジー関連企業に依存したETFと言えます。

分配金

分配金は四半期毎の支払いで、直近の分配金利回りは0.6%程度となっています。

年単位で直近10年分の分配金を見てみると、パンデミックで不況となった2020年を除き、年々成長しています。上記期間でのCAGRは11.1%となっています。同時期のVOOの分配金CAGRは6.1%でしたので、株価の伸びに伴い、分配金の成長率もQQQの方が高くなっています。

直近の権利確定日と支払い日は以下のようになっています。

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権利確定日支払日分配金
2025年3月24日2025年4月30日0.7157ドル
2024年12月23日2024年12月31日0.8347ドル
2024年9月23日2024年10月31日0.6769ドル
2024年6月24日2024年7月31日0.7615ドル

日本の証券会社からは、通常1月、5月、8月、11月に支払いされることになると思います。

ETF比較

情報技術セクターETF(VGT)

類似商品として、バンガードの情報技術セクターETF<VGT>との比較を見てみます。

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 QQQVGT
商品名Invesco QQQ Trust, Series 1Vanguard Information Technology ETF
運用会社インベスコバンガード
設定日1999年3月10日2004年1月26日
経費率0.20%0.09%
ベンチマークNasdaq-100 IndexMSCI US Investable Market
Information Technology 25/50 Index
銘柄数101319
最大構成比率8.74%(マイクロソフト)15.70%(エヌビディア)
上位10銘柄比率50.1%59.1%
純資産総額3,372億ドル856億ドル
分配金四半期毎四半期毎
30日SEC利回り0.53%0.49%
市場価格526.96ドル623.29ドル
2025年6月13日時点の各社HP情報より参照

VGTは情報技術セクター全体に分散しているため、銘柄数では319とQQQより多くなっていますが、上位10銘柄への依存度はQQQの方が低く、銘柄数が多いだけで分散が効いているとは言えません。VGTはセクター分類上、アマゾン、アルファベット、メタ、テスラ等の銘柄が含まれておらず、エヌビディア、マイクロソフト、アップルの3銘柄で約45%を占めていて、この3銘柄への依存度が非常に高くなっています。

経費率はVGTの方が低く、分配金利回りは若干ですがQQQの方が高くなっています。

上図は、QQQとVGTにVOOを加えたTradingView提供のチャートです。期間はVOOの設定日から直近までとし、配当込みのパフォーマンスで比較しています。この15年弱では、QQQよりVGTの方が少し良いパフォーマンスとなっています。とはいえ、大きな差はなく全体で見ても似た動きをしていて、どちらもVOOを大きく上回っています。

QQQとVGTのどちらを選ぶかは好みの範疇かと思います。QQQの方が(銘柄数は少ないものの)VGTよりは広く分散されていて、主要なテクノロジー銘柄を纏めてカバーできます。VGTは、情報技術セクターに限定されますが、QQQと似た値動きで経費率を0.1%以上下げられるのが利点ですね。

他の類似商品としては、ステート・ストリートの情報技術セクターETF<XLK>が挙げられます。VGTの大型株版のようなETFでVGTとほぼ同じ値動きとなっています。また、セクターETF以外だと、バンガードのグロース銘柄ETF<VUG>あたりも代替候補となるかと思います。VUGはナスダックに限定されないため、より広く成長企業に分散投資ができます。

廉価版(QQQM)

同じ運用会社かつ同じベンチマークのQQQMとの比較を見てみます。

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 QQQQQQM
商品名Invesco QQQ Trust, Series 1Invesco NASDAQ 100 ETF
設定日1999年3月10日2020年10月13日
経費率0.20%0.15%
純資産総額3,372億ドル496億ドル
市場価格526.96ドル216.94ドル
Invesco HPより参照。2025年6月13日時点

運用会社、ベンチマークだけでなく、分配金も四半期毎で内容はほぼ同一のため、主な異なる点のみ上の表に纏めました。QQQMは、QQQの廉価版のようなETFで経費率が0.05%低く、単価も半分以下と取引しやすい内容となっています。QQQと比べると設定日が浅く、純資産総額も少ないですが、あまり個人投資家が気にするようなことではないかと思います。

長期投資する上で0.05%の経費率の差は大きいので、今からナスダック100に投資するなら、QQQMの方が良い選択だと個人的には思います。私は2019年にQQQに投資しているので、そのままQQQを保有していますが、今から購入するのであれば、経費率の低いQQQMを選びます。

QQQはETFナスダック100指数をベンチマークとしているため、リーマンショック以降のテクノロジー企業の成長を取り込み、直近15年のCAGRは18%近くと素晴らしいパフォーマンスとなっています。ただ不況時のドローダウンは大きいですし、このまま成長が続くとは限らないので、しっかり特徴やリスクを認識した上で投資したい銘柄ですね。また、上記では一切考慮していませんが、日本から投資する上ではどうしても為替の影響を受けるので、円換算でのパフォーマンスはまた違ったものになるため、実際に投資する際はその辺も考慮が必要となります。

※本記事は投資勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします

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