日本電信電話<9432>の決算発表が5/9にありました。
2024年度期末決算かつ、社名変更やNTTデータ完全子会社化等、トピックが多かったので、株主として内容を纏めたいと思います。
決算内容
▫️売上
13.70兆円(前年比+2.5%)
2025年度予想:14.19兆円
▫️営業利益
1.65兆円(前年比-5.2%)
2025年度予想:1.77兆円
▫️EPS
11.96円(前年比-20.7%)
2025年度予想:12.60円
セグメント毎に内容を見ていきます。
総合ICT事業
NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ等が含まれる事業です。
▫️売上
6.21兆円(前年比+1.2%)
2025年度予想:6.34兆円
▫️営業利益
1.02兆円(前年比-10.8%)
2025年度予想:0.97兆円
▫️携帯電話契約数
9.14千万契約(前年比+1.6%)
増収となったものの営業費用が嵩み、1,239億円の減益となっています。収益の基盤となる携帯電話サービスの契約数は前年比+1.6%と少しずつではありますが、増加しています。
2025年度予想でも、引き続き増収減益となっています。一番収益の大きな事業が減益続きとなっていますので、こちらが改善が株価上昇の鍵となってきそうです。先日ドコモが発表した新料金プラン(値上げ路線)が改善の要因となると良いですが。
地域通信事業
NTT東日本、NTT西日本等が含まれる事業です。
▫️売上
3.11兆円(前年比-2.2%)
2025年度予想:3.12兆円
▫️営業利益
0.30兆円(前年比-32.5%)
2025年度予想:0.30兆円
▫️フレッツ光契約数
2.38千万契約(前年比+0.6%)
減収減益です。特に営業利益は32.5%もマイナスとなっています。衰退傾向の地域通信へのテコ入れで、新規事業開拓や時代に沿わないサービスの廃止等を行っているようですが、現状では数字に現れず減収なのに営業費用は増えている状態です。
2025年度予想では、売上、営業利益共にほぼ横ばい。成長は難しい事業となっているのかもしれませんが、予想の通りせめて現状維持はして欲しいですね。
グローバル・ソリューション事業
NTTデータ等が含まれる事業です。
▫️売上
4.64兆円(前年比+6.2%)
2025年度予想:4.93兆円
▫️営業利益
0.32兆円(前年比+4.6%)
2025年度予想:0.52兆円
増収増益で唯一好調に見える事業です。国内、海外共に1,000億円を超える増収となっていますが、海外については為替の影響が大きく、為替影響を除くと減収となっています。営業利益も、海外は減益となっていて、国内より売上規模の大きい海外での利益改善ができると事業としてより一層の飛躍をしてくれそうです。
2025年度予想でも、増収増益となっています。営業利益率の改善により、大幅な増収を見込んでいるので、こちらはぜひ実現して欲しいところです。
株主還元
▫️配当
2025年度予想:5.3円(前年比+1.9%)
▫️自社株買い
取得上限:2,000億円
取得期間:2025/5/12~2026/3/31
増配率は低いですが、15期連続増配予定と少しでも増配を続ける姿勢が見えるのは良いことです。NTTを保有したのは安定した増配(とそれを実現できるであろう事業内容)が大きな要因でもあるので、ここは継続して欲しいですね。
自社株買いは2023年度から毎年2,000億円となっています。以前より少し規模が減っている状態なので、増やしてくれるとありがたいですが、2025年度は積極的に設備投資を増やしていくようなので、増加はあまり期待できなそうです。事業投資で成長、株価上昇させてくれることを期待しましょう。
NTTデータ完全子会社化
NTTは5/8にNTTデータグループの完全子会社化を発表しました。
▫️TOB概要
買い付け期間:5/9~6/19
買い付け価格:4,000円/株
買い付け予定数:5億9,281万968株
NTTは元々58%の株式を保有していたので、残りの48%を公開買い付けすることになります。発表前日の終値が2991円でしたので、34%のプレミアム、投資総額は約2兆3,700億円となります。2020年には、NTTドコモを完全子会社化していて、その際は約4兆2,500億円で国内最大のTOBでした。
NTTデータを完全子会社化する背景には、ITサービス事業をグループ全体で一体的に運営することで、経営効率を高め、グローバル市場での競争力を強化する狙いがあると考えられます。説明資料においては、AIの文言が多く盛り込まれており、AI技術によるサービス強化、AIデータセンターの拡大、tsuzumiを活用したAIの社会実装等に取り組むとされています。
先日のNTTデータグループの決算発表では、OpenAIとの提携も発表されていました。

NTT全体で推し進めているIOWN構想も、データセンター事業と相性は良いと思われます。グループ一体となって、AI需要の波に乗り、IOWNの普及、収益化により安定だけでなく、成長してくれることを期待します。
社名変更
株主以外の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、NTTの商号は「日本電信電話株式会社」です。この記事でも混在していますし、わかりづらいですよね。今までは、NTT法により会社名の変更が規制されていましたが、2024年のNTT法改正により会社名の変更が可能となりました。
今後は、国内外で広く認知されている「NTT」を正式な商号とすることで、グローバル市場におけるブランドイメージの向上を図るとされています。英語名は「NIPPON TELEGRAPH AND TELEPHONE CORPORATION」から「NTT, Inc.」になるので、だいぶスッキリ分かりやすくなります。
また、商号変更に合わせて、新たなコーポレートロゴも導入されます。新しいロゴには「ダイナミックループ」が採用され、NTTグループ全体のブランド統一を図るため、グループ各社も同様のロゴデザインを順次採用する予定です。

上記に載っているグループ主要9社のうち、持株会社を含め5社が7/1付けで社名が変更されます。
日本電信電話
→ NTT
東日本電信電話
→ NTT東日本
西日本電信電話
→ NTT西日本
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ
→ NTTドコモビジネス
エヌ・ティ・ティ・コムウェア
→ NTTドコモソリューションズ
上3つは通称が正式名称になる形で分かりやすくなりました。
下2つはそれぞれNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアでも良いように思えますが、ドコモブランドを押し出していく方針としたようです。以前の組織変更でどちらも組織上NTTドコモ配下となっていましたので、名実共にドコモに吸収された形です。
株価の動き
5/8 データ完全子会社発表:148.9(前日比-2.2%)
5/9 決算&社名変更発表:153.8(前日比+3.3%)
ドコモの際もそうでしたが、データの完全子会社化発表後は資金繰り悪化懸念か株価は下落しました。ただ翌日の決算発表でそれを取り返す上昇を見せてくれました。週が明けた本日も2%弱の上昇と指数より力強い上昇となっていて、連日の発表は好感を持って受け入れられたようです。
これを機に、ここ1年停滞している株価が上昇に転じてくれると良いですね。2023年の株式25分割の影響もあり、株主数が268万人で国内首位となっているようですので、NTTの株価が上がれば日本の景気も良くなるかもしれません。