4/17の決算発表を受けて、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>の株価が1日で22.4%も下落しました。1998年8月以来の下落率だそうです。
おそらく保有銘柄が1日で20%以上下げたのは初めてのことです。コロナショック時でも1日だと10%前後、他の大きな決算ミスでもせいぜい10%程度くらいの下げしか経験したことない気がします。
金額的にもユナイテッドヘルスだけで一夜で80万円近くのマイナスです。個別銘柄としては過去最大の被弾。
ユナイテッドヘルスはダウ平均への寄与度が高いため、S&P 500は0.1%の上昇に対し、ダウは1.3%の下落となりました。私の米国株ポートフォリオは1.7%の下落でした。コストコ・ホールセール<COST>等、他の銘柄がカバーしてくれたおかげで全体としては耐えられる範囲でしょうか。分散は大事です。
決算内容
▫️売上
1,096億ドル(予想1,116億ドル)
前年同期比:+9.8%
▫️調整後EPS
7.20ドル(予想7.29ドル)
前年同期比:+4.2%
▫️ガイダンス
26~26.5ドル(予想29.75ドル)
前期:29.5~30ドル
普段は決算ミスが少なく、ガイダンスも下方修正はあまり見た記憶がなく、どちらかと言うと上方修正をしていくタイプの会社でした。それだけに売上、EPS共に決算ミス、さらにガイダンスは大幅な下方修正となった今回の決算はインパクトが強かったようです。
2024年のEPSは27.7ドルなので、今年度の着地がガイダンス通りだとすると、2008年以来のEPSマイナス成長になります。今まではコロナ禍も含め基本2桁成長という安定かつ高成長だったので、異常事態と言えるかもしれません。
ガイダンス見直しの理由は、以下の2点だと説明されています。
- メディケア・アドバンテージ事業(高齢者向け医療保険)における医療活動が計画を大幅に上回った
- オプタム・ヘルスケア会員の予期せぬ変化が2025年の償還計画に影響を与えた。さらに、前政権時のメディケア資金削減の影響が予想以上に大きかった
今回の下落を受けて、ヒューマナ<HUM>が-7.4%、エレバンス・ヘルス<ELV>が-2.4%、CVSヘルス<CVS>が-1.8%と医療保険関連の会社は軒並み連れ安となっています。
事業別の内容も見ていきます。
▫️ユナイテッドヘルスケア
売上:846億ドル
前年同期比:+12.3%
▫️オプタム
売上:639億ドル
前年同期比:+4.6%
保険事業のユナイテッドヘルスケアは順調に会員数を伸ばしてはいますが、高齢者や複雑なニーズを持つサービス利用者も増え、ここが医療費率増加の要因で利益を圧迫しているようです。営業利益率は前期5.8%に対し、今期6.2%となっていて、数値だけ見れば売上も利益もそれほど悪くはないように感じます。
医療サービス事業のオプタムは成長鈍化が気になります。2019年以降ずっとユナイテッドヘルスケアよりオプタムの方が成長率が高く、企業全体の成長を牽引してきましたが、今期は+4.6%とかなり控えめな数値となっています。会員数は増えているものの、下方修正の理由にもあるオプタム・ヘルスケア会員のプロファイルの変化による影響で相殺され、オプタム・ヘルス事業単体だと前年比で-5.3%となっており、ここが足を引っ張っているようです。
今後の見通し
アンドリュー・ウッティCEOは、今後数年間で長期的な目標である13~16%の利益成長へ戻すために積極的に課題に取り組む、とコメント、会社はガイダンス見直しの要因について今年中に対処できるとしています。
実際、メディケアの支払料率については、2026年から5.06%に引き上げると今月トランプ政権が発表しています。バイデン政権時の2.23%の提案から大きな上昇となり、2026年の収益増加に寄与するはずです。トランプ関税による貿易摩擦についても、国内事業がメインなのであまり影響はないと見られます。
リストラやAI活用等による技術的な業務効率化により営業費用率も下がっています。自社株買いも継続していて、2025Q1では配当と合わせて50億ドルの株主還元を実施しています。
去年から、ブラジル事業売却の損失、サイバー攻撃への対処、ユナイテッドヘルスケアCEOの銃殺と災難続きな感じがしますが、長期的には成長を続けてくれるのではないかと思います。2025年は我慢の年になりそうですが、2026年に大幅な反発をしてくれるのではないでしょうか。
私自身は現状では売りも買いもせず、今後の復活を期待して持ち続けたいと思います。

それでは良い週末を!